PSI LGBT+ 戦略

PSIは何十年にもわたってグローバルユニオンの最前線でLGBT+の権利を構築してきた。この提案は、LGBT+の権利を求めるキャンペーンにおいて、加盟組合を支援するためにPSIが講じることのできる措置のいくつかを説明するものである。

概要

PSIは何十年にもわたってグローバルユニオンの最前線でLGBT+の権利を構築してきた。CGU(グローバルユニオン評議会)の中でLGBT+の権利に焦点が当てられるようになった今、多くのGUF(グローバル労連)が加盟組合の中でLGBT+の権利を構築するために独自のキャンペーンを展開している。

以下は、他のGUFが実施している注目すべき活動例である。

  • IUFは、15人のメンバーで構成される作業グループを成功させており、定期的に会合を開きベストプラクティスについて議論している。

  • UNIGlobalは、今年末にLGBT+会議を開催することを視野に入れて、LGBT+キャンペーンを開始した。

  • ITFは、航空部門内にインフォーマルなLGBT+ネットワークがある。

PSIがCGUのLGBT+作業グループのプロジェクトを先導しているように、私たちはプロジェクトのための連帯を築くために、私たち自身の組織や加盟組合にも目を向けるべきである。また、彼らの組合組織の中や彼らが代表する職場で、LGBT+の権利をどのように確立するかという問題に奮闘しているかもしれない加盟組合を支援する必要がある。

この提案は、LGBT+の権利を求めるキャンペーンにおいて、加盟組合を支援するためにPSIが講じることのできる措置のいくつかを説明するものである。

目的

  • PSI内でのLGBT+問題の認知度を高め、加盟組合の間でこれらの問題の重要性に対する認識を高める。

  • PSIのLGBT+活動への加盟組合の参加と発言権を強化し、私たちの活動に加盟組合のニーズが反映されるようにする。

  • 活動における包摂性を高め、加盟組合の包摂性を更に高めるよう支援することで、PSIと加盟組合を強化する。

  • 組合や職場内で特定された目標の達成を前進するために、LGBT+労働者とより広範な労働組合運動の間に連帯を築く。

戦略

PSI LGBT+作業グループの導入

他のグローバルユニオンが独自のLGBT+作業グループを立ち上げたり、立ち上げを検討していることから、PSIでのインフォーマル作業グループが必要とされている。これにより、LGBT+メンバー間のつながりが強化され、国際的な連帯感を生み出し、LGBT+の活動に活発でない加盟組合は、UNISON、CUPE、FNVのようなLGBT+の政策や機構を幅広く持っている加盟組合から学ぶことになる。

この計画の残りの部分は、以下の戦略を担当する作業グループによって決まる。このキャンペーンが目指すのは、第一段階が終了するまで、組合員を参加させ、職場におけるLGBT+の平等を構築し、この分野でのPSIの今後の活動の方向性が設定されるような加盟組合主導のキャンペーンが構築されていることである。

作業グループは当面は、CGUのLGBT+キャンペーンについて助言し、LGBT+キャンペーン担当者を指導し、そして加盟組合の観点から最も影響力を発揮できる分野を特定することのできるような一つの加盟組合グループにすぎない。活動がより定着してきたら、活動のニーズに合わせて、自己組織化モデルに発展する可能性がある。

LGBT+交渉基準/要求リスト

現在、少数のGUFでは、LGBT+の権利について独自の交渉政策に取り組んでいる。しかしながら、交渉基準が実施されている例、もしくは、指針以上になっている例は見当たらない。PSIは、加盟組合が実際に使用し、それぞれの状況に適応する交渉基準を持つことを目指すべきである。

加盟組合から寄せられたフィードバックから、単一の交渉基準は、独自のLGBT+交渉基準を策定していない一部の加盟組合にとっては役に立つだろう。それは、LGBT+メンバーの交渉能力およびLGBT+メンバーを集団的に代表する能力を高めることができるだけでなく、オープンで包摂的な職場を促進することにもつながる。

LGBT+の権利に大きな格差のあるさまざまな状況で組合が活動しているため、より一般的な「チェックリスト」でなければならないだろう。

2020年末までに、LGBT+の権利を構築することに関心を示した2つの加盟組合に対象を絞り、この基準を使って雇用主と交渉できるようにすることを目指している。

加盟組合内でのLGBT+の機構づくりを支援

組合内にLGBT+の機構があることはLGBT+労働者の具体的なニーズを語るために重要である。組合の機構の中にLGBT+のスペースを組み込むことで、生活や職場が変わり、LGBT+の人々に対する差別や不寛容さを阻止するために役立ったという、加盟組合からの前向きな事例が数多くある。

職場にLGBT+の権利を構築するためには、3つのタイプの加盟組合がある。

  • LGBT+の機構や政策をすでにもっているため、私たちのサポートを必要としない組合。UNISON、CUPE、FNVのようなこうした加盟組合はこの戦略の重要な部分を占めている。彼らは私たちの活動を先導し、国際連帯を強化するための支援や資源を提供する可能性があり、様々な加盟組合と共に機構を立ち上げるための最良の方法に関して加盟組合を支援してくれる。

  • 具体的な政策や機構づくりを希望し支援を必要としている加盟組合。こうした加盟組合は、私たちが最も支援できる組合であり、この戦略の直接の対象となる。

  • この問題に関与しない加盟組合。PSI内でこれらの問題の注目度を高め、できるだけ多くの加盟組合に、より多くの取り組みを検討するよう促すことが、この戦略の目的である。

PSIおよび第一タイプの加盟組合が、第二タイプの加盟組合内の機構作りに役立つ方法に目を向けることが重要である。

最も必要としているこれらの加盟組合に連帯と支援を提供することで、PSIは地域レベルにおいて長期にわたって影響を与えることができる。

教育

この戦略には2つのレベルがある:各政策分野にLGBT+の要素を取り入れるために、LGBT+の問題についてPSIのスタッフを訓練する、また、LGBT+をより包摂的にする方法についてPSI加盟組合を訓練する。これによって、加盟組合のニーズがさらに評価されれば、作業グループによってさらに具体化され、そして女性や若年労働者を含む他のグループをPSI構造内に統合することも可能である。

LGBT+の人々のために公共サービスをより包摂的にするための包括的なキャンペーンの形式

この戦略は、質の高い公共サービスを創出するというPSIの目標に確実に当てはまる。公共サービスの国際的な労働組合として、私たちは、特定の国や加盟組織を対象とすることを視野に入れながら、公共サービスや行政をより包摂的かつ非差別的にする方法にLGBT+の活動の焦点を合わせる必要がある。作業グループが先導して、彼らの専門知識を生かして、加盟組合が最も支援を必要とするのはどこかを特定し、自国で効果を上げたキャンペーンや戦略に関する知識を活用して、公共サービスをより包摂的なものにする。この戦略で肝心なのは、包摂的な職場でなければ包摂的な公共サービスを実現することはできないということである。包摂的な公共サービスの職場づくりに焦点を当てることで、LGBT+の人々が利用しやすい公共サービスを提供する必要性が強化される。

この戦略では、LGBT+の受容を高めるために、加盟組合のうちの一組織と共に、その国の公共サービスを対象とした試験的なプログラムを実施する。

国によっては、性的指向、ジェンダー・アイデンティティ(性自認)、ジェンダー・エクスプレッション(性表現、見た目の性別)に基づく差別がないように行政手続きの見直しをしたり、LGBT+の人々が公共サービスを利用する際の安全なスペースを確保するために政府と協力することなど、さまざまなことが考えられる。この取り組みは、LGBT+の公共サービス労働者の権利を改善するための交渉基準からまず始めて、LGBT+利用者のためのサービスを改善する方法を検討するレベルへと進むことが可能であろう。

国際戦略

ILO、OECD、WHO、国連など、PSIがアドボカシーの役割を果たしている国際機関に焦点を合わせ、LGBT+の労働者の権利がさらに注目され、利用可能で包摂的な公共サービスが 認められるようにする必要がある。現在、ILOではLGBT+労働者のための活動はほとんどない、だからこそ、PSIがロビー活動を行い、このレベルでのLGBT+労働者の認識をさらに高めるために他の組織との連帯を示す機会である。

次期世界大会までに目指す目標

  • 少なくとも20加盟組合がこの戦略を積極的にサポートしていること

  • 少なくとも15名以上がPSIのLGBT+作業グループに参加すること

  • 少なくとも3加盟組合が雇用者との交渉基準を利用していること

  • 2加盟組合がLGBT+の権利を自分たちの機構の中に組み込んでいること

少なくとも3加盟組合がLGBT+プロジェクトのさらなる活動への資金提供を希望していること

今後の目標

2022年のPSI世界大会までには、大会前の時期をLGBT+の議論のために最大限に活用することに関して助言できる機能的な作業グループが存在すべきである。加盟組合からの報告によると、過去数年は活動の機会を逃してきてしまったような感がある。加盟組合からの多くの意見を参考にして、加盟組合にとって有益で影響力のある大会前のイベントの構築に向けて、今から取り組みを開始することができる。